春夏秋は冬を待つ季節(シーズン2)

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カナダ製のエクセル煙突に触れる機会があったので、詳細にレポートしよう。

■二重断熱煙突■

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このように煙突の断熱材そのものが断面に露出している。断熱材はロックウールだと思われる。素材の性質そのものから、それなりの耐熱性、断熱性は担保されているけれども、私が一番問題と思うのは、断熱材がインナー管、アウター管の間から見えていることだ。氷雪のカナダではこれで問題ないのかもしれないけれども、高温多湿で雨が多い日本の環境で使用すると湿気を吸っていったり、継ぎ目や煙突同士を固定したビス穴から雨が染み込んでいくことは避けられないことだ。3-5年程度の使用では問題ないと思うが、10-15年レベルで考えた時には染み込んだ水で断熱性能が低下したり、断熱材そのものがボロボロになるのは避けられないと思う。

また溶接そのものもシームレスになっているわけではなく、段差がはっきりしていて、溶接跡も綺麗なものとは言いがたい。スポットで要所要所を接合して、その後で他の部分を溶接していっているという作業の様子が見てとれる。

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二重管上部

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二重管中間部分

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二重管下部

ステンレスの素材のそのままの銀色のみで、黒の塗装品は用意されていない。どうせ塗装しても剥げ落ちてしまうし、長期に渡って剥げない塗料は存在しないという理由らしい。屋根上、壁面など屋外の目につきにくい場所だから見た目に美しさや仕上げにはこだわらないという割り切りも必要だ。

製品の品質も、細かいところにこだわらないアバウトな外国人が手作業で作ったため、普通にビス穴がぴったり合わない。そこへ無理やりビスをねじ込んでいく感じになるので「ダマシダマシ」というテクニックが要求される。

このような接合方法なので、現場での施工性は極めて悪い。一人が煙突を落ちないように保持して、もう一人がビスを打ち込むという作業で二人いないとかなり厳しい。その二人も息が合ってないと、大変だ。支える力の入れ方で垂直性が少しでもずれるとビス穴が合わないどころか、全く見えなくなってしまうのだ。足場の悪い高所で二人一組でのこの作業は、思っている以上に大変なのだ。一人での作業の場合はさらに大変で、下から何らかの形で煙突を保持する治具、ジャッキなどが必要になってくるだろう。他社のカプラー式の二重断熱煙突の場合には、ねじ込めばロックするので、一人でも鼻歌まじりにラクに作業できるけど、カナダ製のエクセル煙突の場合は、それなりの覚悟と対策が必要だ。

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煙突同士を接続するには、差し込んでビスを打つ

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ビス穴はぴったり合わない(この個体同士ではこれが一番合った状態)

この接合部分も問題で、屋外部分では煙突の表面を雨水が上から下へ流れていくだけではない。風が吹けば下から上に水は上がっていくし、毛細管現象で隙間からも内部に水は浸入していく。その行先にスポンジのような断熱材が待ち構えているわけだから、どうなるかは言わなくても容易に想像がつくだろう。

対策方法として、接合部分やビス穴にコーキングで処理するということも考えられるが、熱や紫外線で10年20年レベルでの長期に渡って防水性能が維持されるとはとても思えないし、壁出しの場合など全ての部分に厳密にコーキング処理するのは目に見えない裏側の部分もあるので、現実的には難しいと思う。

そして最大の弱点はトップ部分だ。

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断熱材の露出している断面に・・・

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このようにトップを乗せる

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風雨の際にはトップ下面と煙突の上部の継ぎ目からジャブジャブ水が注ぎ込むのは避けられないだろう

また、実際にメンテナンスの現場で遭遇しているのだけど、このトップも曲者で、蓋の部分がネジになっているのだけど、長期に使用でネジがさび付いて動かなくなって蓋を取り外せなくなる。当然、横から煙突でビスを打った部分のネジもさび付いていたり、馬鹿になったりして動かない。トップが外せず煙突掃除できないのだ。結局一段下の煙突を外してやっと煙突掃除できたり、あるいは傘の固定部分を破壊して、煙突掃除の後に針金で固定したりしてと、現場の状況に応じたやり方で処理した。そして、そういう時に断面の断熱材を見るとボロボロに風化して断熱材そのものがダメになっていることが多い。

このように最初の数年は問題なくても、このままの状態では10-15年程度の使用には耐えない品質であると認識している。カナダではこれで問題ないのかもしれないが、日本の風土には合わないと思う。

そこで、唯一このエクセル煙突を日本で安心して使用するための方法が「チムニー」+「角トップ」だと断言できる。この方法であれば、風雨に弱いエクセル煙突を角トップとチムニー内に入れて保護できるので安心できる。角トップそのものの価格が高いし、チムニーの製作コストもあるので、フラッシングで施工するのに比べれば時間もコストもかかるけれども、この部分はケチるべきではないと私は思う。

《お勧めの角トップでの施工例》



「チムニー」+「角フラッシング」は上記の煙突最上段の断熱材断面が風雨にさらされる理由からNGだ。それからカナダ製のフラッシングは安いけれどもガルバなので、煙突から舞い散った煤や垂れたタールの酸性に長期間は耐えられないだろう。いずれ錆びて穴が開くのは時間の問題だ。そういう現場も見ている。雨仕舞いのパーツまでオールカナダ製でいく場合には、煙突掃除の際に自分で点検して、問題がありそうだったら新品交換すると割り切って行おう。(コマメに塗装してなるべく寿命を延ばすなども有効だと思う)

《角フラッシングでの施工例》

※国産二重断熱煙突の場合は、断熱材が完全にインナー管、アウター管、カプラー部分で密閉されているので、トップや接合部分が外気にさらされても安心

■室内用の中空二重煙突■

室内用の中空二重煙突はウルトラブラックという商品名で黒く塗装されている。内径が150ミリ、外径が170ミリ程度なのでパッと見たところシングル煙突に見えてしまうくらいだ。

専用のアダプターを介して二重断熱煙突のエクセル煙突と繋がるようになっている。

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中空部分の空気層がホンマ製の25ミリに比べて小さく、10ミリほどしかない

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さすがに室内用は溶接跡が目立たない

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これが中空部分に挿さって、ビスで固定していく

さすがに室内用の方は溶接跡も目立たず、それなりに綺麗な仕上がりだ。

施工方法などは基本的にはエクセル煙突と同じでハメ込んでビスで打って固定していく。

空気層が10ミリ程度しかないのがミソで、ホンマ製みたいに25ミリないので、逆に空気断熱が強力に効いているように思われる。つまり空気層もそれなりに熱くなるので、それでの保温効果、断熱効果が期待できるのだろう。ホンマ製の場合は空気層が厚すぎて逆にインナー管が冷めてしまうのだと思う。(ホンマの中空二重はどう頑張って上手に焚いても、それなりに煤がついてしまう)

「10ミリ程度の空気層ならばシングル煙突と変らないのでは?」と思う人も多いだろうけど、薪ストーブから比較的近い部分を一瞬手で触れてもヤケドしない程度の断熱性能は確保されている。(本当のシングル煙突だと一瞬でも触るとヤケドする)

■海外製の煙突と、国産煙突の比較■

カナダ製のエクセル煙突だけでなく、日本で比較的容易に入手できて、薪ストーブ店で多く使われているカプラー式のイギリス製、中国製などの二重断熱煙突は、断熱材が外気と接していたり、接していないタイプでも溶接がイマイチで内部に水が染み込む事例が見られる。

やはり日本の風土に合わせて設計された国産の煙突を利用するのが無難だと思う。メトスやトコナメエプコスで販売されている高木工業のものは30年の歴史があるので、安心して使うことができる。(ホンマは中国製)

導入時のコスト優先(※)で海外製の煙突を採用する場合には、それなりの対策を講じるか、長期は持たないという割り切りが必要だ。

※一時的に導入時のコストが多少安くても、10-15年後に煙突交換、修理、やり直し工事などを行えば、逆にトータルコストではかえって高くつくことになる。将来のことまで見越して長期的な視野で考えよう。

煙突は施工した後には、ただの筒に見えてしまい、形やデザインの違いが判りにくいので、その性能(特に耐久性や精度)の違いはあまり議論されない。しかし実は薪ストーブの本体以上に性能差が大きいのだ。「二重断熱煙突なんてみんな同じ」なんて、とんでもない。薪ストーブは、繋がっている煙突の性能に大きく左右されるので、本来の性能を長期にわたって維持させるために、煙突にもっともっと目を向けて欲しいと思う。

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コメント
この記事へのコメント
個人的な経験で言うと、屋外のエクセル煙突は、まだ楽だったんですが、屋内のウルトラブラック煙突、これの施工は地獄を見ました。

うちはログハウスで、勾配天井、棟の近くで抜いたもんで、天井までの高さが8m近いのです。
吹き抜けなもんで足場もない。

最初はしごで頑張っていたんですが、煙突を支えて、それでビス止めしないといけないわけで、どうやって一人でやるのか、落ちたらひとたまりもないし。

結局、室内にも足場(単管足場)をしっかりと組んで、ウルトラブラックは、横にした状態で2本づつ組み立てて、1.8mの長さにしたものを組み立てる、という方法をとって解決しました。

ウルトラブラックは最長のものが900mmなので、これを一人でまっすぐに組み立てるのは不可能に近いと気づき、予め組み立てておくことに気づいて、この気付きはでかかったです。

あと、うちのUBは外径は170mmあるし、メーカーも数字もそれくらいなんで、空気層は10mmだと思います。
まぁ、ICCがいうには、溶接の精度が上がった、ということではありますが、途中支えるものが一切ないわけですから、新エンドは推して知るべしでしょうが。
あと、溶接跡は、以前よりも目立たなくなっていると思います。
少し前に、バージョンアップしたと聞いていいます。

前から思っていたんですが、ストーブの直上あたりの数本、UBの空気層にパーライトでも詰めて、下の方を耐熱セメントで塗って固めたら、断熱性能が上がっていい感じになるんじゃないかと思ったりしているんですが、理屈からいえば、
そのままでも、UB空気層の上部は蓋がされているので、内部の空気はそこそこ固定されているので、大幅な変化はないのかも、と思ったり思わなかったりします。

色々不便な部分もあるんですが、個人的には、非常に気に入っている煙突で、性能的には特に不具合を感じてませんし、ドラフトも強すぎて困るほどです。

外部エクセルの防水は気になっているので、シーズンが終わって煙突掃除をする際に、アルミテープでもで継ぎ目を蓋してしまおうと思います。

あと、トップを外す必要が今のところないのですが、トップの上の蓋、あれ、ネジで外れて、トップごとはずさなくても掃除ができるんではないかと妄想しているのですが。
2015/02/01(日) 11:40:53 | URL | shige02 #LkZag.iM[ 編集]
single02さま:

UBの直径データありがとうございました。本文中の数字を訂正しておきました。

トップの蓋はネジが動くいうちは良いのです。いずれ錆びて固着して動かなくなります。そうすると蓋を外す手段がなくなります。
2015/02/01(日) 12:26:18 | URL | かわはら #MvScDlpk[ 編集]
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